小児泌尿器科とは

小児の尿路(泌尿器:腎臓、尿管、膀胱、尿道)で起きたとされる症状や病気を中心に診療していきます。そのほかにも、精巣や陰茎などの内・外性器についても当診療科の対象となります。また保護者の方で、お子様の夜尿症(おねしょ)をはじめ、包茎、陰嚢水腫など、悩みやトラブルを抱えているという場合もお気軽にご相談ください。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医である当院長が専門的に対応いたします。

小児泌尿器科でよくみられる
症状・疾患

夜尿症

一般的には「おねしょ」と呼ばれることが多いですが、5歳を過ぎても月1回以上の頻度でおねしょがあって、その状態が3ヵ月以上継続している場合を夜尿症と言います。この夜尿症は決して珍しいことではなく、小学校低学年の児童では10人に1人の割合でみられるとも言われています。基本的には成長過程で自然に改善することが多いのですが実生活に合わせて治療を行っていきます。親御さんの協力が必要となりますが、就寝中に起こしてトイレに連れていくことや、いくつかの薬を組み合わせて症状改善していきます。

過活動膀胱

40歳以上の成人に起きやすいとされる症状ですが、小児でも起きることがあります。子どもの場合は膀胱の働きが未成熟のため、尿を膀胱にうまく溜めることができずに尿を漏らしてしまうことがあります。通常は成長するにしたがって治っていくことが多いのです。必要に応じて薬の内服を検討します。

検査として、尿検査、血液検査、腹部超音波検査などを行うほか、お子さんの排尿記録をつけるなどしていきます。

水腎症

腎盂から尿は、尿管、膀胱、尿道を経由して体外へ排出されていきます。何らかの尿路通過障害が起きてしまい、腎盂(あるいは尿管)に尿が他待っている状態を水腎症と言います。
発症の原因ですが、小児の場合、先天的に腎臓や尿管に異常がみられる場合や起こりやすいと言われています。後天的な原因としては尿管結石やガン、炎症などによる閉塞が考えられるため併せて検索していきます。

診断をつける検査としては、腹部超音波検査(腹部エコー)を行います。必要に応じて尿路造影検査やCTを検討します。

停留精巣

精巣は通常陰嚢の中に収納されていますが、実は胎児期に腹腔内にある精巣が陰嚢まで降りるという過程を経ているのです。何かしらの原因によって精巣が十分に下降していない状態を指します。

発症の原因としては、胎生期にテストステロンの分泌不足が考えられ、低出生体重児や早産の場合にみられやすいと言われています。

診断としては出生時に陰嚢内に精巣を触知できないことで見つかります。状況によっては自然に精巣が下降するのを待つこともあります。基本的には手術で精巣を陰嚢内におろして固定します。

移動性精巣

精巣はある程度下降しているものの陰嚢内で固定されておらず鼠径部まで可動性が大きい状態を言います。

放置しても悪性化するリスクはなく、成長によって精巣が大きくなっていけば、鼠経管内に入っていくことはなくなります。体内に精巣が1日中ほとんど入っている状態であれば、基本的に問題ありません。外観上の問題や、精巣機能に何らかの異常が生じる可能性もあるので手術の適応が考えられることもあります。

陰嚢水腫

精巣の周囲に液体が溜まることで陰嚢が膨らんでしまう状態を陰嚢水腫と言います。
発症の原因ですが、精巣がお腹の中から陰嚢まで下降するにあたり、初めはお腹の中と繋がった状態です。通常は繋がっていた空間が自然に閉じられるようになるのですが、これが完全に閉じていないと腹腔内の漿液が精巣周囲に入り込んでしまうことで起きると言われています。

主な症状ですが、陰嚢が膨らむ以外に痛みなどの症状はみられません。水分だけなら陰嚢水腫ですが腸管も一緒に出てきている状態だと脱腸・ソケイヘルニアと呼ばれる状態となり手術を必要とする場合があります。
検査としては、診察で光を当てたり超音波検査を用いての陰嚢の中の状態を確認していきます。
治療としては経過観察が基本ですが、穿刺、手術を検討することもあります。